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今月のメトロニュース
2020.7.5発行 No313  
特集 おすすメトロ 版元さんリレーエッセイ ステンドグラス

次に来るのはこの一冊!
作家 仁木英之

ホハレ峠 全国五千八百万のメトロ書店ファンの皆さまこんにちは。最近うちの息子がカナヘビ(トカゲの一種)を捕まえてきました。大阪の下町に育った私に比べると、やはり自然に近い感性を持っているのかもしれません。そんな身近な自然と人との関りに興味がある皆さまにおすすめの一冊はこちら!
『ホハレ峠』(大西暢夫・彩流社)です。

 日本の都市の多くは背景に美しい山並みをもちます。山の緑からもたらされる水や物資が、都市の活力の源泉となりました。時代が進んでさらに都市が巨大化すると、山の役割も大きくなっていきます。木材が海外からの輸入にとってかわられても、水や電気は自前で何とかしなければならない。すると都市の人々は、山や川の形を変えようと考えました。ただ、形を変えられる山や川に住む人のことはまず考えない。ですから、山に住む人は懸命に声を上げます。時に都市の人間から心無い言葉を投げつけられても、狡猾な行政に振り回されても、先祖代々受け継いでいた暮らしをそう簡単に捨て去ることはできない。
 都市の人は思うでしょう。多額の補償が出るんでしょ? 不便な山の中に住まなくてもよくなるんでしょ? だからといって暮らしを奪うことが許されると思ったら大間違いなのです。
 この本の素晴らしいところは強い言葉を使うのではなく、そこに暮らした一人の女性の人生を丁寧にたどることで、村の美しさ、生の苛酷さ、ダム建設が村にもたらす変遷を描ききっていることです。大西さんは自ら村人のたどった道を歩き、町から見ればただ緑深い山にしか見えない場所に確かに人の暮らしがあったことを明らかにするのです。
 治水のため、利水のため、電力のため、環境のため、より多くの豊かな暮らしのため。誰かが犠牲になっている。補償などは当然以前の話で、町に住む人間が山の人々にどれだけ敬意を払っているかをこの本が、表紙が、問うています。ぜひご一読を!


(最近の仁木英之)
マギオ・ムジーク オンボロカヌーを売ってゴムボートを新たに入手し、暇を見つけては湖上に浮かんでおります。サボっているように見えても文学的思索に耽っているのですよ。小説家うそつかない。うそでない証拠に新刊が出ます!
 『マギオ・ムジーク』(ジュラ出版局)音や調べが魔法の力を持つ異世界の物語。夏休みの読書にぜひ!

 
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