高齢者は感染すると危険だと言われ家にこもってばかりいた。本も読み飽き、テレビも見飽きてしまった。そこでスマホでラジオを聞いてみた。
NHKのアプリを入れると、ラジオ第1、第2、FMと「聞き逃し」の4種類の放送が聴ける。スマホって便利!
朝6時からはFM。夢うつつでバロックを聞きながら目覚める。
7時からは第2放送。ドイツ語講座をBGMにして、朝ご飯の支度。学生時代に第二外国語でドイツ語を習ったが、挫折したのでリベンジをしている。
眠れぬ夜は第一放送のラジオ深夜便だ。亡き母も朝まで聴いていたらしい。
あれこれ聞いていると、「古典講読」という番組があった。
放送していたのは「更級日記」だった。
古典といえばその昔、古文の時間に、おじいさん先生の優しいお声を聞きながらうとうとしていたのを思い出す。下何段活用だの、反語だのまるで外国語のようだった。
更級日記も作者の名前を知っているくらいで読んだ記憶もないが、ラジオで聞いていると活字を読むのとは違い、耳に心地よくすんなりと入ってくる。(加賀美幸子さんの朗読が素晴らしい。)
本放送は土曜日なのだが、いつも聞き逃してしまうので、最初から「聞き逃し」のお気に入りに登録して、好きなときに聞いている。就寝前に聞くことが多いが、テーマ音楽が流れるやいなや寝入ってしまうこともたびたび。古文の時間に寝ていた昔の癖が出てしまうのだろうか?
更級日記は主人公が13歳位からの出来事が書かれていて、書き始めたのは50代になってからだそうである。日記は地方に赴任していた父親に従って京の都へ戻ってくるところから始まる。彼女は物語が大好きで、それまでに源氏物語を切れ切れに読んでいたが、都に帰ってきて、全巻を手にいれることが出来て大喜びする。1020年頃のことだ。
その頃都では流行り病で作者の乳母や知り合いのお姫様がなくなったりして、人々は皆家にこもってばかりいたとか。そのことを「ひた家(や)ごもり」と呼んだそうである。
コロナに打ち勝つ薬やワクチンが出来るまで「ひたやごもり」に徹して、遠くにいる親しい友人や親戚たちに会える日を楽しみに過ごそうと思う。
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