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今月のメトロニュース
2020.9.5発行 No315  
特集 版元さんリレーエッセイ ブクブクコラム 今日もほのぼの日和

版元さんリレーエッセイ

ライツ社 高野翔様

本と著者と読者に申し訳ない
出版社の営業として、失敗できないのは「重版の判断」である。
するかしないか、するなら何部刷るのか。培われた経験が問われる仕事だ。
新刊の場合、正直なところ出版してみないと分からない。なので予測が外れようともまだ許される(のか?)。
問題は重版である。すでに発売しているので、データはふんだんに揃っている。どのくらい売れているのかが分かっている。予測ができる。新刊に比べて圧倒的に簡単なはずだ。
なのにミスをしてしまう。しかも何度も。
大後悔である。

ずっと読みたい0才から100才の広告コピー 最近、「ずっと読みたい0才から100才の広告コピー」という書籍がテレビで紹介された。
紹介前にはテレビ局から出版社に連絡がある。この時点で在庫はほぼなかった。
「重版するか、しないか……」重版しても全く反響がない場合は、返品の山となり大赤字だ。何回も苦い経験をしている。不甲斐なさを噛みしめた夜が蘇る。悩んだあげく、重版しないと決めた。一度決めたことに後悔はまったくない。そういうふうに生きてきた。
放送当日。本はとても素敵に紹介された。発行元なのに思わず買いそうになった。
当事者さえそうなのだから当然の大反響である。在庫は一瞬でなくなった。書店から問い合わせの電話が殺到。泣きそうになった。辛くて。
一日中大後悔したあげく、結局重版することにした。
1000部。しかし、放送前に重版していれば2000部でも売り切れていたと思う。
本と著者と読者に申し訳ない……。一ヶ月以上たったが今でも引きずっている。
こんな経験が年に一、二度ある。自分の判断一つで本の運命が少なからず決まる。なかなか因果な職種だなと思う。
さて、未来の話だが小社の本がある素晴らしい賞を受賞することが決まった。
全国の書店で一斉に大展開される賞である。当然重版をする。しかも数万部クラスだ。伝わらないかもしれないが、こんなことは10年に一度あるかないかである。私にとっても初めての経験だ。予測を外したらたぶん一生涯後悔する自信がある。会社も超大ダメージだ。でも大丈夫。データはふんだんに揃っている。必ずダイジョウブのはずだ…。

【高野翔様プロフィール】

ライツ社 代表取締役社長/営業責任者。1983年福井県生まれ。京都の出版社で営業マネジャーを務めたのち、2016年9月に兵庫県明石市でライツ社を創業。おっちょこちょい。「相手の想像力」のおかげでなんとかやっているタイプの営業です。

*編集部より
高野様ありがとうございます。「なんで重版してないんだよ」という書店側の意見のお答えがわかって面白かったです。
来月は三交社小林様からのリレー、白泉社の小澤様の予定です。どうぞお楽しみに


 
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